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トップインタビュー「私とメンター」

Vol.7

経営者と音楽家をメンターに、自分流を見出す

平井 康文 シスコシステムズ合同会社 代表執行役員社長

「ワーキングウーマン・パワーアップ会議」(事務局:日本生産性本部)では、女性の力を活かし、組織の生産性向上につなげる動きを加速させるため、女性と組織を応援しています。 第7回は、シスコシステムズ合同会社 代表執行役員社長 平井康文氏に、ご自身の経験からメンターと女性の活躍への期待について伺いました。
(インタビュアー:アキレス美知子 ワーキングウーマン・パワーアップ会議 推進委員)

会社を移る時も、面白いと背中を押してくれた


写真:平井康文氏
平井 康文(ひらい やすふみ)
シスコシステムズ合同会社の代表執行役員社長 兼 米国シスコシステムズインク シニアバイスプレジデントとして、日本における事業全般を統括。日本IBM、マイクロソフト日本法人で営業部門の要職を歴任し、2008 年2月にシスコに副社長として入社後、2010年8月より現職。新経済連盟理事、経済同友会幹事、経営品質協議会幹事、早稲田大学ヒューマンリソース研究所招聘研究員としても活動。
アキレス  女性の活躍を推進するためには、メンターの存在が大きいと言われています。平井社長にも、人生の師として、節目にアドバイスを受けた方はいらっしゃいますか。

平井  メンターとして仰いでいる方が数人います。同時に、今は外国人のエグゼクティブコーチからもガイドを受けています。メンタリングは、自分よりも年齢が上で人生でより多くの経験を積まれている方からアドバイスを頂く、ある意味、師弟関係だと私は思っています。
 その中で、メンターとしてお名前を一人挙げるとすると、今はシグマクシスの副社長をされている清水照雄さんです。以前に私は日本IBMに20年在籍していたのですが、その時の大先輩で取締役をされていた方です。1995年1月に私がニューヨーク州の米国本社に勤務することになり、その後すぐに清水さんもディレクターとして、ニューヨークに赴任されました。お会いしたことはありませんでしたが、直接電話をもらったのがきっかけです。清水さんとは直接の上下関係になったことは一度もありません。だからこそメンターとして何でも相談ができたのだと思います。ビジネスキャリアの分岐点で、いつもアドバイスを頂いてきました。
 日本IBMから米国本社に二度目の出向でニューヨークに住んでいた頃、ソフトウェア事業への強い関心からマイクロソフトへ移ることを考えていて、ちょうど出張で現地を訪れていた清水さんに相談しました。当時日本IBMの取締役でしたから、怒鳴られるかと思いましたが、「面白いじゃないか」と言われ、「これで日本のソフトウェア業界も面白くなるかもしれない。行け。」と背中を押してくれたのです。
 マイクロソフトからシスコへ移る時も相談をしました。全く利害関係がない立場なので、純粋に中立的な立場でアドバイスをしてくださいます。

アキレス  清水さんが「面白くなる」とおっしゃったのは、業界全体を考える視点をお持ちだからなのでしょうね。

平井  そうですね。型にはめないといいますか、お好み焼きに例えていえば、生地のコナを広げた時に固めて真ん丸にするのではなく、出るのだったらもっと出して、どんな形になるか見届けようじゃないか、という感じの方なのです。

外からどう映っているかを知るためにコーチングは重要

アキレス  エグゼクティブコーチをつけていらっしゃるということでしたが。

平井  コーチングというのはガイディング。年齢は関係なく、その分野のスペシャリストであることが重要と思います。専門的な立場からどう見えるかを常にアドバイスしてくれるという意味で貴重です。1カ月に1回程度、90分から2時間のコーチングを受けています。内容は多岐にわたるのですが、決してコーチは答えを出してくれません。いろいろなヒントをくれて、私自身から答えを導き出し、新たな気づきを自分で整理させてくれるので、ラーニングの場でもあります。

アキレス  いろいろな質問をされることによって、ご自分で「待てよ」と考えるきっかけになりますね。

平井  今取り組んでいるのは、グローバリゼーションのなかで、日本人としてどのように振る舞うかということです。言語のことではありません。これは日本人には不得手な分野だと思います。日本の習わしや価値観・行動様式とグローバル社会でのそれには、必ずしも相容れないものがあると思うのですが、それを自分なりに、平井流のスタイルを確立してみたいと思っています。
 コーチングでは実践する場を自分で宣言して、トライした結果を後日フィードバックする。そういったことを積み重ねています。ジャック・ウェルチにもタイガー・ウッズにも専任コーチがいます。自分が意図していることが外からどう映っているかというのは、鏡を見て右と左が逆になるように、なかなか分からないのですね。それにはコーチングが有益ではないかと思っていまして、弊社の役員にも何人かエグゼクティブコーチをつけています。

アキレス  昔はコーチをつけていると、足りないところがあるのではないかという誤解がありましたが、外資系に限らず、日本の会社でもコーチングはリーダーの育成・支援に非常に有効ではないかと思います。


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