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トップインタビュー「私とメンター」

ダイバーシティ・マネジメントを定着させることは企業文化を変えること

アキレス りそなでは、特に女性を1つのキーワードとして色々な推進をされていますが、会長ご自身の女性へのサポートのご経験はございますか。

細谷 JR時代から、私は女性にチャンスを与えるということに力を入れてきました。サービス業には女性の共感能力が非常に重要だと。 学者から聞いたのですが、右脳と左脳を結び付ける脳梁が、女性は男性より20%大きいらしいです。そうすると、感性と理性の総合的な反応力のレベルは女性のほうが高い。まさにお客様とのコミュニケーションとか、お客様に対する思いやりとか。「日本全体がサービス業化していく中、女性の力を発揮しないことはない」という思いで、就任した時に人事担当部長を呼んで、「10月1日に、女性の支店長を5名発令しよう」という指示をしたのです。

アキレス それは、驚かれたでしょうね。

細谷人事は「3名は候補がいますが、あとの2人はいません」と言うので、それなら発令をして育てればいいじゃないかということで、5名としました。でも追加の2人はうまくいきませんでした。本人達がリーダーとしての訓練を受けていないということと、まだまだ現場は男性主導文化で、皆で支えてやろうという風土が全くありませんでした。

アキレス受け入れられなかったのですね。

細谷それで、やはりこれは抜擢的な人事だけでは女性が活躍できる銀行にはなれないと思い、「Women's Council」を作って、どんな小さな会合にも顔を出して「あなた方がこれから主役の時代だ」ということを自分の肉声で話しました。

アキレス全行員の中で、女性の割合は何パーセントですか。

細谷社員の40%が女性で、パートナー社員まで入れると60%が女性です。

アキレスそうすると、そこが元気になると全然違いますね。

細谷全然違います。それに、メガバンクと違って個人や中小企業向けのお客様を最も大事にする銀行を目指そうとなると、女性のパワーが大事です。特に景気が回復期になって個人が資産運用に関心を持たれたので、女性が投資信託などの商品を販売する力をつけていったということが、りそな再生のベースを支えてくれたと思います。
 そういう意味では、私は経営者が本気になって女性を活躍させるというメッセージを伝えないといけないと思っています。ダイバーシティ・マネジメントを定着させるということは、企業文化を変えることです。それには、トップの本気さがないと。例えばダイバーシティ推進室などの組織を作って、よろしくというだけの企業が結構多いのです。そうすると風土的にも定着しないし、制度面だけいじってもうまく運用されないわけです。

アキレス確かにそうですね。

支店長層の女性社員にメンター制度でサポート

細谷その後は女性のリーダー研修を入れたり、若手の女性を育てるための中堅のメンター教育など色々な挑戦を行い、その都度私が行ってメッセージを伝えています。今は女性にもう1ランク上を目指して、経営層にもっと挑戦してもらいたいということで、支店長層の女性社員に役員部長クラスをメンターとしてつけているところです。そういうメンターが集まった時には、私が直接期待される役割を伝えています。

アキレスきっと、役員の方たちにもいい刺激になるのではないでしょうか。男性は、元上司や社外など色々な形で出会いがあって自然にサポートを受けられる方も多いのですが、女性は経営から遠い仕事が長く続いたため、ネットワーキングや、メンターとの出会いが限られているので、企業側で最初に仕組みを用意して続けていくというのは、非常に有効ですね。

細谷そういう意味では、男性主導型できた今の日本の組織は、女性を支える仕組みとか、助言をできる仕組みを作っていくことが非常に大事です。

アキレス私が以前の会社で、役員と女性の組合せのメンタリングのプログラムを実施した時に、有能なメンティについた役員の方が、「こんなに優秀な人材がなんでこんなところにいるんだ」と驚いて、それから女性社員に対する見方が全く変わったということがありました。


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