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開催レポート

「エンパワーメント・フォーラム2015」開催レポート

 2015年2月20日、「ワーキングウーマン・パワーアップ会議」と日本生産性本部は、都内で7回目となる「エンパワーメント・フォーラム2015〜女性の成長と活躍を支援する」を開催した。
 当日は約250名が参加し、「第2回エンパワーメント大賞」の表彰式、「第1回エンパワーメント大賞」受賞組織の経営者による講演、今回のエンパワーメント大賞受賞の3組織によるパネルディスカッションが行われた。


開会あいさつ

 冒頭、ワーキングウーマン・パワーアップ会議代表幹事で実践女子大学教授の鹿嶋敬氏は開会挨拶として、「西暦年に5がつく年は女性の地位向上に関してターニングポイントとなる年だ。2015年は、男女雇用機会均等法を制定した1985年から30年、エンパワーメントという言葉が発信された国連・北京女性会議の1995年から20年が経つ。そんな5のつく年にこのフォーラムを開き、エンパワーメント大賞の受賞を皆さんと喜び合うことは大変画期的なことだと思う。
 日本生産性本部では、2008年に女性のエンパワーメントを推進するワーキングウーマン・パワーアップ会議を、その2年前には、ワーク・ライフ・バランス推進会議を創設し、いま両輪で活動を進めている。
 2015年という年を、男女共同参画社会形成の実現というゴールに向かう上での、一つの契機となる年にしたいと思う。」と述べた。


第2回「エンパワーメント大賞」表彰式













 「第2回エンパワーメント大賞」の表彰式では、日本生産性本部会長 茂木 友三郎より、受賞組織(大賞1社、優秀賞4社、奨励賞1社)の代表者に表彰状と記念品の楯が授与された。

◆受賞企業の取り組みはこちらをご覧ください。



 また、祝辞として以下のように述べた。「日本では、これまで人口の半数である女性の力を、経済・ビジネスの分野で活用することに熱心でなかったが、少子化、グローバル化の急激な社会経済情勢の変化に対応するためには、これまでとは違う、新しい発想・視点が必要ということに気づき、経営者が女性の活躍に自ら力を注ぐようになった。
 異なる視点をもった女性たちの知恵を、企業や社会全体で活かしていくことが、変革への近道ではないだろうか。
 時代の変化に敏感で、柔軟に対応できる感覚が不可欠であり、これまでの固定化された価値観を変えていくためにも、人材の多様化への対応が求められる。そのためには、異なる人材・意見・発想などを受け入れることへの理解・認識が、日本の企業に求められる。
 いま女性の活躍推進への動きは、大企業を中心に、着実に加速的に進んできているが、今後は地域や中小企業での推進の動きへと、広がりをつくることが重要であり、それが日本全体の活力アップにつながると考えている。
 今回の受賞事例がよいモデルとなり、推進が活性化することを願う。」


講演「人材の多様性を活かしたセブン&アイグループの成長戦略」

 続いて、「人材の多様性を活かしたセブン&アイグループの成長戦略〜流通業としての女性の活躍推進〜」をテーマに、「第1回エンパワーメント大賞」受賞組織である、セブン&アイ・ホールディングス代表取締役社長最高執行責任者 村田紀敏氏による講演が行われた。
 グループの哲学を表した社是に、お客様に信頼される誠実な企業でありたいとある。そのあと、取引先や株主や地域社会、さらには社員にも信頼される誠実な企業でありたいと続く。
 小売業で一番大事なことは、店に対するお客様からの信頼である。それをつくり出しているのは商品だが、もう一方は、一人ひとりのお客様との対話の中におけるサービス力であり、その集合体としてのブランドである。ブランドのない企業は成長力が非常に弱い。このブランドをつくり上げることが一番重要な課題だ。
 グループに、赤ちゃん本舗という企業がある。ここで働く人たちのほとんどが女性である。この人たちが、お子様や妊婦の方々の気持ちをよく理解して商品を作り、品揃えをし、接客を通して成長してきた企業である。
 そのように女性が活躍する場は、小売業やサービス業の中でも多く出てきている。これまで活躍する場を与えられなかったのは、過去の高度成長における男性社会がネックだったのではないか。これからの時代はダイバーシティが重要だ。性別ではなく、その仕事が好きだという人、そしてそこで自分がどれだけお客様の満足度を高められるかという熱い気持ちを持った人が働くことによって、一層企業が成長すると同時に、個人も一緒に成長していくのであり、そういう場をつくり上げたいと思う。
 店舗を利用されるお客様の多くは女性であり、女性が持つ感性を活かすことで、一層お客様との関係を強くできるのではないかと考えている。女性活躍を企業の競争力強化に繋げたい。
 当グループでは、2006年に『幹部の約20%を女性にする。そのために女性はもっと活躍してほしい』と社外へ宣言し、2012年には、ダイバーシティ推進プロジェクトを立ち上げた。現在、女性の管理職(係長相当以上)は約20%となっている。プロジェクトでは、国内のグループ会社で横断的にダイバーシティの推進に取り組んだ。
 まず課題を把握するため、育児をしながら働いている女性社員の意見を聞こうと、「ママ'sコミュニティ」を実施した。また、制度だけではなく、風土を醸成するために、意識面の改革を実施してきた。女性管理職のネットワーク作りのためのコミュニティを社内に作り、グループの女性社長の講演や、外部講師によるマネジメントスキルのセミナーなども行った。これらの取り組みにより、育児をしながらも役職者として活躍する女性も増え始めた。
 さらに、男性の育児参加促進を目的としたセミナーを実施し、男性も育児参加することで、女性が活躍しやすい職場環境をつくろうとしている。『イクメン推進プログラム』では、外部の方から、社会の変化とダイバーシティの重要性、そしてその中での男性の役割変化について講演してもらった。やはり企業が啓発行動をしなければ、女性が活躍することは難しい。
 ポイントは2つある。1つは男性の意識改革、特に男性幹部の意識改革である。2つ目は風土づくりである。女性が働き活躍することが当たり前の風土をつくり上げなければならない。
 今ではこういったことを意識した活動がいろいろな形でグループの中に広がっている。各地区で「ママ's コミュニティ」がつくられ、自分たちで問題を提起したり、ダイバーシティ・マネジメント・ハンドブックを作成し、各地の事業所で幹部への教育も含めて促進を図っている。
 パート社員の戦力化にも取り組み、イトーヨーカ堂では正社員登用の仕組みをつくった。様々な変化を捉え企業は成長していかなければいけないが、変化こそが成長の源であり、その源は人である。人が活躍できる場をつくっていくことが経営者の使命だ。人は限界のない大きな力を持っている。それが出しきれていないのが今の日本の社会ではないか。日本の将来は明るいという気持ちを持ち、自分たちがその将来を担っていくことを肝に銘じて一人ひとりが仕事に取り組んでいければと思う。


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