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開催レポート

「エンパワーメント・フォーラム2014」開催レポート

   2014年2月25日、「ワーキングウーマン・パワーアップ会議」と公益財団法人日本生産性本部は、東京都内で、第6回となる「エンパワーメント・フォーラム2014」を開催し、約200名の参加者のもと、講演および、第1回「エンパワーメント大賞」の表彰式や、パネルディスカッションを行った。
 冒頭、ワーキングウーマン・パワーアップ会議代表幹事である池田章子 ブルドックソース代表取締役社長は、開会挨拶として「政府は2020年までに指導的地位にいる女性を30%にすると明言しており、今後政策や制度がスピードアップして導入されるだろう。 働く環境は変化し、個人の行動も変わるが、女性は本物のパワーを持つことが大切だ。組織の目的や目標に貢献し、成果を出す力を真剣に学ばなければならないと思う。男性のビジネス感や経験値によるマネジメント力、我慢強さなど、学ぶべきところは学び、女性としての特性を活かしつつキャリアを積む勇気を持ってほしい。キャリアを積むことは物事の本質を知ることでもあり、その素晴らしさを体験して欲しい。」と述べた。


第1回「エンパワーメント大賞」表彰式開催

 続いて行われた「エンパワーメント大賞」表彰式では、セブン&アイ・ホールディングスとP&Gの2社が大賞を受賞するほか、鳥取大学医学部附属病院、トヨタファイナンス、光機械製作所が奨励賞を受賞した。









◆受賞企業の取り組みはこちらをご覧ください。


本格的な女性の活躍の動きを応援

 ワーキングウーマン・パワーアップ会議顧問 牛尾治朗日本生産性本部会長は祝辞で「当会議の発足当時には、女性が活躍するポジションにつくためにはメンターが必要だと考え、『メンター・アワード』の表彰を始めた。今年、安倍総理がダボス会議で『日本は女性が輝く国になりたい』とスピーチをされるなど、環境が大きく変化したこともあり、『エンパワーメント大賞』を新たに設け、『メンター・アワード』から表彰対象を広げた。首都圏では女性が働き続けるための制度が行き渡ったと思うが、今後は地域にそういう環境をどう整えていくかが課題である。女性は男性より明確に問題を指摘するし、変化に対する即応性も優れている。日本がグローバリゼーション、IT化が進む中で、いよいよ本格的な女性の活躍のために、本会議では全力で応援したい。」と述べた。


講演「ダイバーシティ社会へのチャレンジ」

表彰式に続いて、ワーキングウーマン・パワーアップ会議代表幹事の小林いずみ 前多数国間投資保証機関長官が「ダイバーシティ社会へのチャレンジ」と題して講演を行った。

新しい発想やビジネスのために異なったものを受け入れる環境が必要

 昨年7月に帰国したが、日本というのは素晴らしい国だと感じる。水道の蛇口から飲める水が出るという生活は当たり前に感じると思うが、実は世界の水準から見たときにこのインフラはスタンダードではない。食事がおいしいとか、どこへでも公共交通機関で行けるとか、いろいろ恵まれていることを改めて実感したが、同時に違和感も覚えた。
 例えば、就職活動中の人たちが同じような服装をしているが、目立たないということはコンサバティブなリスク管理であって、自分の長所をアピールする部分が消されてしまう。皆と同じように考え行動するということは、海外から見て大きな違和感であり、ビジネスにおいても大きな問題だ。
 アフリカでは電気が引かれていない場所にも、どこにでも携帯ショップがある。これは非常に面白いビジネスモデルだ。電気がなくATMも銀行の窓口もない場所で、携帯ショップは太陽光パネルや自家発電機を持っており、そこに顧客が来て携帯を充電して携帯を使って送金をする。携帯が金融機関の機能の一部を担っているのだ。
 私たち日本の企業はこれからこういった、どこにでも電気があるという環境とは違う世界でビジネスをしていかなければいけない。そのときに、私たちが日本で当たり前だと思っていることをベースにビジネスモデルをつくって競争ができるだろうか。この中で勝負をしていくためには、これまでとは違う発想や違う考え方、違う優先順位、違うビジネスのスピードというのを持たなければ、企業が生き残っていくことは難しいだろう。そのためには、社会にも企業にも異なるものを受け入れる環境が必要だ。本田宗一郎氏が「創業当時、私が世界的視野に立ってものを考えようと言ったら吹き出したやつがいた」と言っている。
 今、私たちの組織の中で、スタンダードから考えると突飛で非現実的に思えるアイデアを出す人に対して、多くの人たちは吹き出したり、あるいはそんなことできるわけないと思ったりするかもしれない。しかし、社会や経済、そして日本も絶えず変化をしているのだから、今日の価値観は明日になると変わっているかもしれない。これから先の新しい価値観やビジネスモデルをどう作るか、それが実は我々のこれからのビジネス、そして日本の社会が継続していくために非常に重要になるのではないかと思う。

女性の育成は既存の価値観の枠外で

 女性を成功させる、あるいは育成するためのモデルが、働き方も含めてまだまだ既存の理想的な男性社員の枠組みなのではないかと思う。どうすれば女性が長時間労働の仕事の職場で活躍できるのかと考えるのだろうが、そもそも新しいバリューを組織の中に提供するためには、必ずしも女性がこれまでの従来型の男性のモデルにはまる必要はないのではないか。
 これは女性だけではなく男性に対しても言えるが、私たちが今目指さなければいけないのは、女性だから、男性だからというパターンではなく、一人ひとりの力をどう活性化し組織の原動力として使えるかということだ。これが実はダイバーシティであって、是非、女性を育てるということを今までの既存の価値観の枠外で考えてほしい。

リスクはマネージするもので、排除するものではない

 「あなたはあなたの人生をずっとキャッチャーミットにしてはいけない。自分から投げることも必要だ。」というマヤ・アンジェロウの言葉がある。 就職活動で女性の活躍度や支援制度の質問が多くあるが、本当にやりたい仕事をさせてくれる会社に、子育て支援が十分ではないからといって就職をしないのだろうか。また、今の時点で自分自身のキャリアのステップが組織の仕組みの中ではっきり見えないからといって、仕事を辞めてしまうのだろうか。そのように自分自身の将来の芽を摘んでしまっている女性が実はかなり多いように思う。
 私が就職をした1981年には、このような女性支援のフォーラムができるということさえ考えられない時代であった。30年たてば世の中が変わるのだ。絶対に忘れてならないのは、自分の人生、自分のキャリアの舵を握っているのは自分だということである。
 日本人はまずリスクを考えてしまって踏み込まない。これは日本のビジネスにおいても多く見られることである。リスクはマネージするものであって、排除するものではない。リスクを取らなければリターンはない。じっと嵐が過ぎ去るまで動かずにいようと思っても、実際にはそこで失ってしまうものがある。仮にリスクを取って失敗したとしても、失敗から学ぶものは何もしないことよりもはるかに大きく、たくさん得るものがある。失敗してもまたやり直せばよい。それを繰り返すことで、キャリアを自分自身でマネージできる、あるいは組織自体を活性化していけると思う。
 女性の活躍を推進することは、今後、企業がグローバルな競争の中で生き残っていくために非常に重要である。あなた自身の一人ひとりの力と努力が、実は女性だけではなく、日本の企業や日本の経済を救う鍵を握っているのだ。


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